*2月9日〜13日 鶯が山里で美しく鳴き始めるころ*
鶯には、「春告鳥(はるつげどり)」の呼び名があります。
冬を山谷ですごし、早春のころ里へ降りてきて
春の深まりとともに、ホーホケキョという美しい声に
ととのっていきます。
その年一番初めに聞く鶯の声を「初音(はつね)」と言いますが、
余寒の厳しいこの時節、平野部でそのさえずりを耳にするのは、
もう少し先のようです。
「鶯の声なかりせば 雪きえぬ山ざといかで 春をしらまし」 中務
春の訪れを告げる鶯の声がなかったならば、雪の消えないこの山里で
いったいどうして春が来たことを知ることができましょうか。
出典*『和漢朗詠集』川口久雄全訳注 講談社学術文庫