* 11月17日〜21日 冬の気配も強まり、水仙の花が咲き始めるころ*
「陰の花水仙に限る。賞美すべき花なり」
とは、江戸時代より伝わる華道の書『生花七種』にある言葉です。
「陰の花」は冬の花をさし、
厳しい寒さの中で凛と咲く、日本水仙の美しい姿を讃えています。
開花期は11月から3月なのですが、すこしうつむいたように咲く水仙の花を
実際よく目にするのは、確か、年も明けてからだったように思います。
つめたくはりつめた空気を好んで開く花。渡ってくる鳥。
真冬に、私は生まれたからでしょうか、
そうした、甘さのすくない、どこかしら近寄りがたさを漂わせる生き物に
ひっそりとした親しみを覚えます。
それらは、「眺める」よりも
遠くからそっと、その存在を「感じて」いたくなります。
雪の中でも花開くため、雪中花とも呼ばれる水仙。
咲いたなら、切り取って暖かい家の中へ運んでしまわずに、
あくまでも野辺の風にさらされたままにしておきたいな・・などど、咲かぬ今から思いをはせます。